地震大国日本では、住宅の耐震化が重要な課題となっています。しかし、耐震診断や耐震改修には費用がかかるため、なかなか踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、国や地方自治体が提供する耐震住宅補助金制度です。この記事では、耐震住宅に関する補助金の種類や条件、申請方法から、札幌市で利用できる具体的な制度まで、わかりやすく解説します。
また、以下の記事では札幌市でおすすめの注文住宅会社を紹介していますので、住宅会社選びでお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
耐震住宅補助金とは?基本的な仕組みと種類
耐震住宅補助金とは、住宅の耐震性能を向上させるための費用の一部を、国や地方自治体が補助する制度です。地震による建物の倒壊を防ぎ、人的・経済的被害を軽減するために設けられました。
耐震住宅補助金は大きく分けて、既存住宅の耐震化に関するものと、新築住宅の高い耐震性能を支援するものがあります。既存住宅向けには「耐震診断補助」と「耐震改修補助」が代表的で、新築住宅向けには「長期優良住宅」や「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」などの高性能住宅に対する補助があります。
これらの補助金は、国が直接提供するものと、地方自治体が独自に設ける制度があります。多くの場合、国の補助金に地方自治体が上乗せする形で実施されており、地域によって補助金額や条件が異なります。
国が提供する耐震住宅関連の補助金制度
国は地震に強い住宅づくりを推進するため、様々な補助制度を設けています。これらの制度は基本的に地方自治体を通じて実施されることが多く、地域によって具体的な内容に違いがあります。ここでは、主な国の補助制度について解説します。
耐震診断・耐震改修に関する国の補助制度
国は「住宅・建築物安全ストック形成事業」の一環として、耐震診断や耐震改修に対する補助を行っています。この制度は、地方公共団体と連携して実施されます。
耐震診断については、国が費用の1/3を負担し、地方公共団体も同程度を負担することで、所有者の自己負担を軽減します。一戸建て住宅の場合、診断費用の2/3程度が補助されることが一般的です。
国の補助に加えて、多くの地方自治体が独自の上乗せ補助を行っているため、実際の自己負担額はさらに少なくなることがあります。
耐震等級の高い住宅への補助金と減税措置
新築住宅で高い耐震性能を持つものについては、直接的な補助金よりも、税制優遇措置が中心となっています。
住宅性能表示制度における耐震等級2以上の住宅は、長期優良住宅の認定を受けることができ、以下のような税制優遇措置が適用されます。
- 所得税の住宅ローン減税:控除期間の延長(10年→13年)
- 不動産取得税の軽減:課税標準から1,300万円控除
- 固定資産税の減額:新築住宅の減額期間の延長(3年→5年)
また、耐震等級に応じて地震保険料の割引も適用されます。耐震等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引が受けられます。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の概要
既存住宅のリフォームによって長期優良住宅と同等の性能を持たせる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」も国の重要な補助制度の一つです。
この事業では、耐震性、耐久性、省エネ性などの性能を向上させるリフォーム工事に対して、国が費用の一部を補助します。補助額は性能向上の程度や工事内容によって異なりますが、最大200万円程度の補助が受けられる場合もあります。
地方自治体が提供する耐震住宅補助金
地方自治体は国の補助制度に上乗せする形で、独自の耐震住宅補助金制度を設けていることが多いです。ここでは、地方自治体の補助金制度の一般的な特徴と申請の流れについて解説します。
自治体ごとに異なる補助金制度の特徴
地方自治体の耐震住宅補助金制度は、地域の住宅事情や財政状況、地震リスクなどに応じて設計されているため、自治体ごとに大きく異なります。
また、住宅の築年数や構造、居住者の年齢や所得などによって、補助金額や条件が変わるケースも少なくありません。特に高齢者や障がい者がいる世帯、子育て世帯などに対しては、上乗せ補助を設けている自治体もあります。
自治体によっては、耐震改修と合わせてバリアフリー化や省エネ改修を行う場合に、追加の補助を行うケースもあります。地域の住宅政策全体の中で、耐震化がどのように位置づけられているかによって、制度の内容は変わってきます。
補助対象となる条件と金額の目安
地方自治体の耐震住宅補助金の対象となる一般的な条件としては、以下のようなものが挙げられます。
- 旧耐震基準(1981年5月以前の建築確認)で建てられた住宅であること
- 木造住宅であること(非木造は別の制度が設けられていることが多い)
- 一戸建て住宅または小規模な共同住宅であること
- 専用住宅または店舗等の併用住宅であること
- 所有者が居住していること(賃貸住宅は対象外となる場合が多い)
補助金額の目安としては、耐震診断では費用の2/3〜全額(上限2〜10万円程度)、耐震改修では工事費用の1/3〜2/3(上限50〜120万円程度)が一般的です。
申請から交付までの一般的な流れ
耐震住宅補助金の申請から交付までの流れは、自治体によって異なりますが、一般的には以下のような手順となります。
- 事前相談
- 申請書類の準備
- 補助金交付申請
- 交付決定通知
- 工事の実施
- 完了報告
- 完了検査
- 補助金の交付
重要なポイントとして、多くの自治体では「工事着手前の申請」が必要です。既に工事を始めてしまった後では申請できないケースが多いため、必ず事前に相談することが大切です。
また、年度ごとに予算枠があるため、予算がなくなり次第、その年度の申請受付が終了することもあります。計画的に申請することをおすすめします。
札幌市の耐震住宅補助金制度
札幌市では、木造住宅の耐震化を促進するため、耐震診断や耐震改修工事に対する補助制度を設けています。ここでは、札幌市の主な耐震住宅補助金制度について、具体的な内容や申請方法を解説します。
木造住宅耐震診断支援事業の内容と申請方法
札幌市の木造住宅耐震診断支援事業(出典元:札幌市)は、旧耐震基準(1981年5月31日以前に建築確認を受けたもの)で建てられた木造住宅の耐震診断を支援する制度です。
対象となる住宅の条件は以下の通りです。
- 札幌市内にある木造住宅であること
- 1981年5月31日以前に建築確認を受けたもの
- 階数が2階建て以下であること
- 在来軸組工法、伝統的工法または枠組壁工法によるもの
この制度では、札幌市が認定した耐震診断士が住宅の耐震性を調査し、診断結果を報告します。診断費用の2/3を札幌市が負担するため、所有者の負担は1/3となります。具体的な自己負担額は、延床面積によって異なりますが、およそ2〜3万円程度です。
申請方法は以下の流れとなります。
- 札幌市役所または各区役所の窓口で申請書を受け取る
- 必要事項を記入し、必要書類(住民票、建築確認済証の写しなど)を添えて提出
- 札幌市からの通知を受けた後、診断を実施
- 診断結果の報告を受ける
この制度を利用することで、自宅の耐震性能を客観的に評価でき、必要に応じて耐震改修工事の検討材料となります。
木造住宅耐震改修工事等補助金の概要
札幌市では、耐震診断の結果、耐震性が不足していると判断された木造住宅の耐震改修工事に対して、「木造住宅耐震改修工事等補助金」(出典元:札幌市)を交付しています。
提供いただいた資料によると、令和6年度(2024年度)の補助金制度では以下のような補助額が設定されています。
- 耐震改修工事:上限120万円(評点1.0以上にする場合)
- 防災改修工事(1段階目):上限70万円(評点0.7以上1.0未満にする場合)
- 防災改修工事(2段階目):上限50万円(評点0.7以上から1.0以上にする場合)
申請期間は、令和6年度の場合、令和6年(2024年)4月1日から令和6年(2024年)9月13日までとなっています。ただし、申請受付は終了していることが記載されていました。
耐震住宅補助金を賢く活用するためのポイント
耐震住宅補助金を効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、申請時の注意点から税制優遇措置との組み合わせ方、効率的な計画の立て方までを解説します。
補助金申請時の注意点と失敗しないコツ
耐震住宅補助金の申請で最も多い失敗は、「工事着手前の申請を怠る」ことです。多くの自治体では、工事着手前の申請が原則となっており、工事を始めてから申請すると補助対象外となる場合がほとんどです。
また、以下のような点にも注意が必要です。
- 申請期間を確認する
- 予算枠を把握する
- 必要書類を事前に確認する
- 施工業者の選定に注意する
- 複数の見積もりを取る
また、自治体によっては、耐震改修工事を行う施工業者を登録制にしている場合もあります。その場合、登録業者以外に工事を依頼すると補助対象外となる可能性があるため、事前に確認することが重要です。
税制優遇措置との組み合わせ方
耐震住宅補助金と併せて活用できる税制優遇措置もあります。これらを組み合わせることで、さらに費用負担を軽減できる可能性があります。
主な税制優遇措置としては以下のようなものがあります。
- 耐震改修促進税制
- 固定資産税の減額措置
- 住宅ローン減税
これらの税制優遇措置は、適用要件や控除額が年度によって変わることがあります。最新の情報は国税庁や自治体のウェブサイト、または税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
札幌市でおすすめの注文住宅会社3選
札幌市で耐震性の高い住宅を建てるなら、地域の気候や地盤特性を熟知した会社を選ぶことが重要です。ここでは、札幌市で実績のある、高い耐震性能を持つ住宅を提供している3社をご紹介します。
土屋ホーム

土屋ホームは、札幌市に本社を置く北海道を代表する住宅メーカーです。1974年の創業以来、北海道の厳しい気候条件に対応した住宅づくりで実績を重ねてきました。
項目 | 詳細 |
---|---|
会社名 | 株式会社土屋ホーム |
所在地 | 北海道札幌市北区北9条西3丁目7番地 土屋ホーム札幌北九条ビル |
創業年月 | 1969年6月 |
公式サイト | https://www.tsuchiyahome.jp/ |
同社の住宅は、標準仕様で耐震等級2を採用しており、オプションで耐震等級3にも対応可能です。独自の「N-BOX構法」を採用し、地震の揺れに強い構造を実現しています。2018年の北海道胆振東部地震後の調査でも、同社の住宅は高い耐震性能を証明しています。
また、北海道の地盤条件に精通しており、適切な地盤調査と基礎設計で、地震だけでなく凍結・融解のサイクルにも強い住宅を提供しています。
また、もっと詳しく知りたい方は土屋ホームの公式サイトを訪れてみてください。
以下の記事では土屋ホームのさらに詳しい口コミ・評判、施工事例を紹介していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。

日本ハウスホールディングス

日本ハウスホールディングスは、1969年に創業した寒冷地住宅のパイオニアとして知られる住宅メーカーです。北海道での建築実績も豊富で、厳しい寒さと地震に強い住宅づくりに力を入れています。
項目 | 詳細 |
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会社名 | 株式会社日本ハウスホールディングス |
所在地 | 〒102-0072 東京都千代田区飯田橋4-3-8 日本ハウスHD飯田橋ビル |
電話番号 | 0120-247-300 |
会社HP | https://www.nihonhouse-hd.co.jp/ |
同社の「新木造システム」は、木造の良さを活かしながら高い耐震性を実現しています。標準仕様で耐震等級2を採用しており、耐震等級3にも対応可能です。また、独自の制震装置「TRCダンパー」を導入することで、地震の揺れを大幅に低減する効果も期待できます。
特に寒冷地での実績が豊富で、高断熱・高気密と高耐震を両立した住宅を提供しています。北海道の厳しい冬でも快適に過ごせる住環境と、地震に強い構造を同時に実現している点が強みです。
以下の記事では、株式会社日本ハウスホールディングスのさらに詳しい口コミ・評判、施工事例を紹介していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。

一条工務店

一条工務店は全国展開する大手住宅メーカーですが、札幌市にも展示場を持ち、多くの施工実績があります。同社の最大の特徴は、標準仕様で耐震等級3を採用している点です。追加コストなしで最高レベルの耐震性能を得られるため、コストパフォーマンスに優れています。
項目 | 詳細 |
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会社名 | 株式会社一条工務店 |
所在地 | 東京都江東区木場5-10-10 |
電話番号 | 0120-516-019 |
会社HP | https://www.ichijo.co.jp/ |
独自の「i-シリーズ」という構造システムは、工場生産された高精度のパネルを使用した「i-PUC工法」を採用しており、高い精度で均一な品質の住宅を提供しています。震度7クラスの地震にも耐えられる強度を持ち、実際の震災でもその性能が証明されています。
以下の記事では、一条工務店のさらに詳しい口コミ・評判、施工事例を紹介していますので、気になる方はぜひ一度お読みになってみてください。

まとめ
耐震住宅補助金は、住宅の耐震性能向上のための強力な支援制度です。国と地方自治体が連携して提供するこれらの制度を活用することで、耐震診断や耐震改修にかかる費用負担を大幅に軽減することができます。
特に札幌市では、「木造住宅耐震診断支援事業」や「木造住宅耐震改修工事等補助金」など、具体的な支援制度が設けられています。耐震改修工事には最大120万円の補助金が交付されるなど、手厚い支援が受けられる可能性があります。
地震大国日本において、住宅の耐震性能は家族の命と財産を守るための重要な要素です。補助金制度を賢く活用して、安心して暮らせる住まいづくりを進めていただければ幸いです。最新の補助金情報は各自治体の窓口で確認し、専門家のアドバイスを得ながら計画的に進めることをおすすめします。